昔々のお話です。
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車山のふもとに柏原という村がありました。1軒の家におかんという小さい女の子がいました。とても元気に遊び、夕ごはんを食べる時になっても帰ってこないことがしょっちゅうありました。
ある日のことでした。気がついてみるとお日さまは車山にとっくに隠れて、どの家もあかあかと灯がともっていました。おかんはあわてて家に帰りましたが、家の人は入れてくれません。おかんは大きな声をあげて泣きじゃくりましたが、家の人は少しこらしめてやろうと、知らん顔をしていました。
そのうちどうしたことか、あんなに泣いていたおかんの声がピタリと聞こえなくなりました急いで戸を開けてみましたが、おかんの姿がありません。村中で大さわぎをしてさがしましたがむだでした。最後に拝んでもらいましたら、車山の天狗に連れていかれたのだろうと言われました。 |
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それから長い年月が流れました。柏原村の若いおとこが車山のほうへたきぎを取りに出かけました。「テングノクボ」あたりに来たときでした。どこからともなく雪のように白い白髪のおばあさんが杖をついて近づいてきて、「使いをたのまれておくれ」と、言いました。
若いおとこは手紙を預かり、言われたとおり目をつむると空中にふわっと浮いて、八ヶ岳の山頂に立っていました。すると目の前に天狗が立っていたので、手紙を渡しました。また目をつむると体が中に浮かび、もとの車山に帰っていました。
しかしさっきのおばあさんはどこにもいません。驚いたことに目の前にはきちんとそろえたたきぎが、山のように積み重ねてありました。それはみんなねじりきったものでした。そのたきぎは使っても使っても少しも減ることがなく、若いおとこの暮らし向きも豊かになりました。
そのおばあさんこそ「おかん」であったということです。その後も村の何人かが見かけ、「車山のおかんばば」と呼ぶようになりました。 |
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