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「音楽の奏原」が始まってから今年で4年目を迎えます。たくさんの人々の情熱によって創られ、育ってきましたが、 そのきっかけとなったのは、何年か前に、ある一人のスタッフが目にした、夏の日のひとつの情景でした・・・
夏休みが始まった8月のある日。雲ひとつない澄みきった青空、きもちいい風が樹々の葉を揺らす、穏やかな日の出来事です。その日は好天に恵まれた週末だったこともあり、その夏一番の来客数でした。多くの皆さんの目的はリフトに乗って山頂に行き、八ヶ岳や富士山などの大パノラマを眺めることです。 スキー場としてのリフト設備を使っていますが、子供さんからお年寄りまで誰でも乗って頂けるように速度を遅くして運行しています。 ですが・・・「リフトに乗る」と聞いただけで「怖い」と思ってしまったり、リフトを降りてから山頂まで歩くとなると、一緒に来た家族に迷惑を掛けると感じてか、自動車の中やベンチで待っているお年寄りも少なくありません。 私たちは「乗るときと降りるときはゆっくりになりますから大丈夫ですよ」と声をかけるのですが、遠慮されるケースがほとんどです。せっかくこんな遠くまで来たのに・・・と残念に思えて仕方ありません。 リフト乗場から少し離れた駐車場の整理をしていた私の目に、小柄なおばあちゃんの姿が映りました。そしてその横にはまだ小さな男の子。他のご家族はリフトに乗りに行ったようです。「そうかぁ・・・リフトに乗れないおばあちゃんのために、あの子は残ってあげたんだな」と思いました。本当は乗りたかったのかも知れないのに・・・少し可愛そうだな、と感じていたのですが、なんだかとても楽しそう。よくよく見てみると、ふたりでなにかを眺めています。 さりげなく様子をうかがうと、夏の合宿に来ていた高校生のブラスバンドの練習を 観ていたのでした。パートごとの練習ですから、もちろん曲にはなっていません。でも若者らしい清々しい音です。 太陽のもとで、汗をかきながらの練習。とても素敵な光景です。そしてそれを同じ目の高さで観ているおばあちゃんと男の子の後ろ姿も。「二度とないこの瞬間をふたりで過ごした幸せの記憶」 。いつの日か、あの男の子は思い出してくれることでしょう。「・・・夏の晴れた日に、自然の中で、大好きなおばあちゃんと、音楽を聴いた・・・」。 きっと彼には 幸せな「音の記憶」ができたことでしょう。かけがえのない、たったひとつの・・・・
日常に、当たり前のように存在する音楽。普段は何気ないものでも、時には特別なものになって、私たちのこころに なにかを届けてくれます。車山の草原が「奏原」に変わる真夏のこの一週間 。きっと、たくさんの音楽がみなさんを つつんでくれることでしょう。音楽は「聴いたその瞬間から共通の想い出になる」素晴らしいもののひとつです。ぜひみなさんもご一緒に、「おと」と「こころ」を紡いで、音楽にあふれる時間の中で想い出を創ってください・・・